稀有な症例を通して
専門性の高い治療が学べる
岩手医科大学附属病院 肝臓内科
中屋 一碧 Ippeki Nakaya
- 岩手県出身
- 岩手医科大学医学部卒業
- 2019年4月
- 八戸赤十字病院 初期研修(〜2021年3月)
- 2021年4月
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岩手医科大学 肝臓内科入局
八戸赤十字病院 消化器内科勤務 - 2022年4月
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岩手医科大学附属病院 内科学講座
消化器内科勤務
じつはどの教室に入局するか、初期研修2年目のぎりぎりまで迷っていました。当時は消化管内科と肝臓内科がそれぞれ独立していて、どちらも魅力を感じていたからです。最終的に選んだのは肝臓内科です。消化管は患者数が多い分、医師の人数も多い。一方、肝臓を専門とする医師はまだ少なく、この分野を極めれば自分の大きな強みにつながると考えました。その選択は間違っていなかったと思います。
肝臓内科の魅力
CR(完全寛解)まで完結できる貴重な領域
少し専門的な話になりますが、肝臓は「肝動脈」に加え、腸から血液が流れ込む「門脈」と異なる2種類の血管があります。この特異性から、肝がんに栄養を送る肝動脈に薬剤を注入して血流を塞ぎ、がんを壊死させる肝動脈化学塞栓療法(TACE)という血管内治療法があります。全身化学療法と組み合わせることで大きな治療効果を得られるため、ぜひ経験を積んで習熟していきたいと考えています。
肝臓内科ではTACEのほかにも、超音波を使った経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)、抗がん剤など、さまざまな治療の選択肢があります。岩手医科大学はTACEとRFAに積極的に取り組んでいて、国内でも有数の施設です。一般的な進行がんでは治癒を得るために手術が必要なことが多いですが、肝がんは進行がんであっても内科領域のみでCR(完全寛解)を目指せることにやりがいを感じます。
内科専門医研修プログラムで
学んだこと
大学病院では、稀有な症例を通して専門性を磨く
初期研修でお世話になった八戸赤十字病院(青森県)にとどまり、専攻医1年目を過ごしました。八戸赤十字病院は内視鏡検査が非常に多く、ほぼ毎日ルーティーンのように検査を担当し、十分な経験を積むことができました。世代の近い若い先生も多く、次々と新しいことにトライする機会を与えていただけて、とても有意義な1年でした。
2年目の今は大学病院に勤務しています。肝臓の治療はここ数年で大きく変化しており、ここでは稀有な症例を通して専門性の高い検査や治療を学ぶことができます。上級医の先生は治療前のアセスメントの精度が高く、治療中に予想外のことが起こったり難渋したりしても、その修正能力はすばらしく、日々勉強になります。
初期研修医時代を振り返ると、当時は専門医の先輩がすごく大きな存在でした。それほど専門医の1年、1年は習得することが多く、医師として成長できる時期だと思います。残された研修期間も一日一日しっかりと学び、先輩たちに少しでも近づきたいと思います。
医局について
一番若手の私にも次々と仕事が回ってくる
肝臓内科は現在、少ない人数で日々の業務を行っております。医師の人数が多いと、なかなか主要な仕事は回ってこないものですが、ここでは一番若手の私にも次々と回ってくるため様々な経験を積むことができます。その際に困らないように、空いた時間には模擬練習などで準備をしています。
私が入局したときには肝臓内科は独立した科でしたが、現在、消化管内科との統合が進んでいます。もともと消化管にも興味があったので、私にとって願ってもないことです。肝臓内科を専門領域として深めつつ、消化器全体の知識を増やせる環境になるので、今から期待に胸を膨らませています。
目指す医師像
専門性を兼ね備えたジェネラリスト
地域医療に貢献したいと考えているので、まずは臓器の隔てなく、広く患者さんを診られる医師になることが目標です。さらに肝疾患も診療できるようスキルを磨き、専門性を兼ね備えたジェネラリストを目指したいと考えています。そのためにも、知識や経験をしっかりと深めていきます。
現在、岩手医科大学附属病院の診療科としては「消化管内科」と「肝臓内科」が独立しています。しかし、内科学講座のなかでは「消化器内科分野」として1つの講座にまとまっています。見学に来て頂ければおわかりと思いますが、2つの科に所属する医師は医局を共有しながら和気藹々と臨床と研究を行っています。したがいまして、中屋先生もお話されているように私達の科では「消化器内科分野」として消化管・肝胆膵の臨床を広く学ぶことができます。この領域の診療と研究に興味をお持ちの皆様を歓迎致します。お待ちしております。
肝臓内科 教授 松本 主之