患者さんに信頼され
長く寄り添える医師になりたい
岩手医科大学附属病院 血液腫瘍内科
清原 千貴 Kazuki Kiyohara
- 福島県出身
- 岩手医科大学医学部卒業
- 2017年4月〜
- 岩手医科大学附属病院 初期研修
- 2017年4月〜
- 岩手医科大学大学院
- 2019年3月
- 2019年4月
- 岩手医科大学 血液腫瘍内科入局
- 2019年4月〜
- 岩手医科大学附属病院 血液腫瘍内科勤務
- 2020年3月
- 2020年4月〜
- 岩手県立中部病院(北上市)血液内科勤務
祖父母、父は医師という家庭で育った私は、子供の頃から医師になろうと決めていました。中学生のときに祖母がリンパ腫を患い、地元の病院に血液内科がないと知って「私が血液内科の医師になって地元で働こう!」と。使命感で選んだ血液内科でしたが、実際に研修で学んでみると興味深い分野で、医局の雰囲気もとても良かったので迷わず入局しました。
血液腫瘍内科の魅力
患者さんの全身管理が不可欠で、他科との関わりも深い
私にとって血液腫瘍内科の魅力は、新しい薬剤が次々と誕生し、組み合わせによって多くの患者さんに化学療法が適応できるところ。また、どの科にも共通するとは思いますが、特に血液腫瘍内科は全身管理が不可欠で、心臓や腎臓など血液以外の疾患や問題点を他科と一緒に確認しながらアセスメントを組むことにもやりがいを感じています。例えば化学療法を行うとき、心機能や腎機能をはじめとした全身の予備機能を評価し、さらに精査が必要となれば他科にも相談をしながら治療の準備を行います。その所見を受けて「この患者さんに抗がん剤を使用しても問題ないだろうか」と、治療前に自分でも詳しく調べて知識を深めます。また、造血幹細胞移植の際も、さらなる全身評価が重要です。内科・外科に相談しながら全身の評価を行います。
以前は全身状態によって骨髄移植や幹細胞移植が難しかった患者さんも少なくありませんでしたが、医学の進展のおかげで、移植可能な状態に持っていけるケースが増えてきました。化学療法や移植を乗り越えて退院する方を見ると本当にうれしいです。血液腫瘍内科では、診断、治療、入院、退院後の外来と、一人の患者さんと関わる期間は長く、造血幹細胞移植を受けた方であれば5〜10年と長期間にわたります。だからこそ、医師と患者さんやご家族との間で信頼関係を築くことがとても重要だと思っています。
内科専門医研修プログラムで
学んだこと
大学病院と関連病院の違いを実感
内科専門医研修プログラムの1年目は岩手医科大学の病棟、2年目となる今年は、半年間の予定で関連病院である中部病院の病棟に勤務中です。中部病院はまだ数カ月ですが、新しい経験をいろいろ積んでいます。
岩手医科大学附属病院は化学療法や移植治療等を行う患者さんが中心ですが、中部病院では高齢であったりして必ずしも積極的に治療を行うとは限りません。患者さんやご家族の話を聞き、御家族の支援や社会的背景を考慮しながら、長期的な治療方針を立てる大切さを特に学んでいます。まずは患者さんやご家族の話をじっくり聞き、ご家族の支援や社会的背景も考慮しながら、長期的な治療方針を立てる大切さを学んでいます。
医局について
学位を目指す私を応援していただき、感謝しています
医局はとてもいい雰囲気です。治療が難しい分野なので、ときには結果が出せずに辛い思いをすることもありますが、患者さんを「助けたい」という強い気持ちで、皆さんが全力で医療と向き合っているところがすばらしいと思います。
研修医時代、伊藤教授の「臨床はできて当たり前。疑問に思ったことや研究で分かったことを医療で実践することが大事」という言葉が心に響き、「社会人大学院制度」を利用し、臨床しながら学位を目指す道を選びました。最短だと4年間で学位を取得できますが、その分、やるべきことがたくさんあります。診療の合間や診療後に研究を行うことはもちろん、論文も書かなければいけません。大変ではありますが、血液腫瘍内科の先生の多くは学位を取られていますし、医局の先輩方も応援してくださっているので感謝しています。
目指す医師像
内科専門医と学位取得を目指し、患者さんに寄り添える医師に
できれば最短5年で、内科専門医の資格と学位の両方を取得したいです。その後、サブスペシャリティとして血液内科専門医も目指したいです。血液腫瘍内科は、患者さんとの関わりが長くなるケースが多いので、相手と信頼関係を築けるよう、真摯に話に耳を傾け、常に患者さんに寄り添える医師になりたいと思っています。
血液腫瘍内科の魅力は、全ての内科領域の知識や経験を活かして診断から治療まで一貫した診療を行うことができる点にあります。当科は内科専門医およびサブスペシャリティとしての血液専門医取得に向け充実した研修に加え、造血器腫瘍を主体とした研究も並行して行うことができます。リサーチマインドと化学療法や造血幹細胞移植など最新の治療スキルを持ち合わせた血液内科医の育成を目指しています。
血液腫瘍内科 教授 伊藤 薫樹